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タロウとお電話A

川畑      「回覧に回す時……判決文は勿論全文つけるんですよね?」
タロウ     「勿論、全文つけますよ。読むかどうかは読む人の判断ですが……。」
川畑      「絶対ですよっ!絶対全文つけて下さいよっ!!」
タロウ     「……。」
川畑      「ハハ……ハハハハハ……。」
タロウ     「……。」
川畑      「あなた……本当に判決文を理解してますか?」
タロウ     「ええ……勿論理解していますが……。」
川畑      「ふぅ…………。」


溜め息をひとつつく……。


川畑      「あの判決文には、ワタシの主張が正しかった事がしっかり書かれてますよ!!
         それを公開するって事ですよ!!
         良いんですね!!?」
タロウ     「え……???………どこにですか?」

わざとらしい……もう狐と狸の化かし合い状態です。

川畑      「あなた全文キチンと読んでないんですか???」
タロウ     「え?読みましたけど……。」
川畑      「ふぅ………。」

またひとつ溜め息をつく。
まあジャイヤンタロウには分からないでしょうけど。

川畑      「いいですか?ちゃんと聞いてくださいよ!」
タロウ     「ええ……。」
川畑      「『ネコが車の上に乗っていた事実』があると判決文では明記されてます。」
タロウ     「ええ……。」
川畑      「『ネコが山田家の中でエサを食べていた事実』もあると判決文では明記されています。」
タロウ     「ええ……。」
川畑      「『首輪をしていて飼いネコの振る舞い』とも明記されています。」
タロウ     「ええ……。」
川畑      「そして……アナタがエサを食べられる環境を作っていながら……
         その防御措置を充分にとっていなかった事は……明らかなマナー違反であると
         書かれているじゃないですか!!!」

もし回覧しても……山田屋のマナーが悪いことに気付く人も大勢いることでしょうから山田屋の評判も悪くなるでしょう。でもタロウにはそんなこと分からなかったみたいです。

タロウ     「あの……判決文読みました???……全部……???」
川畑      「ええっ!!勿論っ!!!」
タロウ     「2ページ目と3ページ目が御飯粒でくっついてて読み飛ばしたとか無いですか?
         ………大丈夫ですか???」

はいはい皮肉皮肉。怒ってあげます。

川畑      「当たり前ですっ!!!……何言ってるんですか!!!」
タロウ     「いいですか……アナタが今主張した部分の間に『しかしながら……』で始まるワタシの
         反論事実が認定されていたはずなんですが……。」
川畑      「それがどうしたって言うんですか!!!?」
タロウ     「その中には、ワタシが他のネコを飼っていて……そのネコの為のエサであり……
         該当ネコに関しては保健所に届け出ているって書いてませんでしたか?」
川畑      「書いてありましたかね?」
タロウ     「それらの事実を踏まえた上で『該当ネコはワタシの物とは言えない』と書いてありますが?」
川畑      「……………。」
タロウ     「……まだ何か?」
川畑      「『確かに被告の行動はマナー違反と言える』とあるでしょうっ!!」
タロウ     「え〜っと……『善解すれば』の後ですか?」
川畑      「そうですよっ!!!」
タロウ     「ふぷっ!……アナタ……アナタの方こそ……ちゃんと全文読みましょうよ。」
川畑      「なにがですか!!!?」
タロウ     「『善解』の意味……分かってますか?」
川畑      「どういう事ですか?」
タロウ     「説明しましょうか?……用語説明……。」
川畑      「分かってますっ!!そんな事くらい!!」
タロウ     「本当にいいですか?……ねぇ……本当にいいですか???」

スゴイ………きっとこんな顔して話しているに違いない。

川畑      「まぁいいです……まぁ……そんな事はいいです。」

ヤッパリムダでした…………。

タロウはONかOFFしかスイッチが無いと言う事でしょう。
「0」か「1」か……「YES」か「NO」しか無いような思考回路である。
いわゆるデジタル思考ってヤツですね。
確かにワタシの訴えは証拠不十分で棄却されましたが……

判決文には被告のマナーの悪さも謳ってある。
どうやらタロウはその一文を完全に無視しているようです。

あの裁判ではお灸にならなかったみたいです。

…………。

タロウ     「他に何か?」
川畑      「判決文の『アナタの主張の部分』です。」
タロウ     「はぁ……。」
川畑      「いいですか?……『保健所に届け出た』って項目もアナタがうまく
         ごまかしただけで……ワタシの推測が間違っていたとは書いてありませんよっ!!」
タロウ     「だったら推測を裏付ける証拠を出さないと………。」
川畑      「………ですが……そんな時間の余裕が無かったんですから……!!」

実は結審後に見つけましたが……。
今、言ってしまうのはもったいないので………時期を見てタロウに教えてあげる事にします。

タロウ     「判決に不満だったら控訴すればいいでしょう………。」
川畑      「ワタシはアナタと違って『暇』じゃありませんからっ!!!」
タロウ     「『暇』って……あんた……いきなり訴えて……法廷に引っ張り出しといて……よくそんな事
         ……言えますね……。」
川畑      「だって……訴えるしかないじゃないですかっ!!」

なんか『暇』って発言で怒っちゃったみたいです。

……………図星だったのでしょうね。

タロウ     「その『訴えるしかない』って発想がどうかしてるんじゃないですかっ!!」
川畑      「…………。」
タロウ     「いいですか!?……だいたいアナタっ!ウチと同じ町内で商売やってるんでしょうっ!」
川畑      「………ワタシが中心でやってるわけじゃありませんが……。」
タロウ     「中心だろうがそんな事は関係無いですっ!!
         親兄弟身内が店やってて……アナタも手伝っているんでしょうっ!!」
川畑      「ええ……。」
タロウ     「町内で裁判沙汰なんか起して……『店に影響がある』とか『親に知られたくない』とか……
         ワケのわかんない事言ってんじゃないのっ!!」
川畑      「ですが……。」
タロウ     「いいっ!?裁判は公開が原則なのっ!!
         それが嫌なら最初から裁判なんか起すんじゃないのっ!!」
川畑      「しかし……。」
タロウ     「裁判の途中で事実が判明してきたら……その時に『ごめんなさい』って取り下げりゃ……
         今みたいな事にはなって無いよっ!!」
川畑      「それは……。」
タロウ     「最後までとんでもない推測の難癖付けて……自己主張したのはどっちなんだいっ!!」
川畑      「あ……う……。」
タロウ     「とりあえず用件1は決定だからねっ!キッチリ払ってもらうよっ!!」
川畑      「あ……はい……。」

それは払うと何回も言っているのに……しつこい!!

タロウ     「2と3は、アナタの腹次第だから……よ〜〜〜く考えて2週間以内に返事するっ!!」
川畑      「……はい……。」
タロウ     「わかった!!!?」
川畑      「あ……あ……あの……ちょっと聞いてください……。」
タロウ     「ん!?まだ何かあるの!?」
川畑      「ワタシも……謝罪しない気持ちは……無いことも無いです。」

「謝罪しない気持ちは無いことも無い」……

……これぞ日本語のややこしさ。
きっとタロウは勘違いしたでしょうw

せっかくなのでもう少し遊んであげることにした。
しおらしくなった様に振る舞う事にしました。

川畑      「ただ……引っ越してきたばかりで……右も左も分からない……。
         そんな中での提訴……そんなワタシの心情も理解してください。」

珍しくタロウは黙って聞いている。

川畑      「アナタはここの町内で生まれて、ずっと生活されている様子ですが……
         店を開店したのも5〜6年前……引っ越してきたのは今年に入ってからなんですよ……。」
タロウ     「……………。」
川畑      「アナタみたいに町内に顔が利くわけでもありません。
         ……ワンルームの賃貸住宅に住んでるんですよ。」
タロウ     「……………。」
川畑      「引っ越してきても誰も近所に知り合いがいるわけでもないし……
         相談できる人もいないし……。」
タロウ     「……………。」
川畑      「だいたい……町内会長さんが誰かなんてのも知らないんですよ。」
タロウ     「……………。」
川畑      「ゴミの日だって知らせてもらってません。」

やっとタロウが口を開く。

タロウ     「あのさ……『ワタシ引っ越してきました川畑です』って近所に挨拶に行った?」
川畑      「行ってませんよ……ワンルームの賃貸でもやらなきゃいけないんですか?」
タロウ     「あのさ……そういう事くらい……自分で言わなきゃ……まわりはわかんないでしょ……。」
川畑      「……………ええ……。」
タロウ     「それで、その時に洗剤の一つでも持っていけば随分印象変わるもんだよ。」
川畑      「……………はぁ……。」
タロウ     「ゴミの日くらい……エレベータホールとかマンションの掲示板に貼ってないの?」
川畑      「……………一度……確認してみます……。」
タロウ     「町内会費……払ってる?」
川畑      「払ってませんよ……ワンルームですよ……それは強制ですか?」
タロウ     「いや……強制ではないけど……月に200円ですよ。」
川畑      「無理ですよ……ワンルームマンションに住む……僕なんか低所得者ですよ。」
タロウ     「……………。」
川畑      「アナタは町内とか近隣住民とか良く言いますけど……決して外から入ってきた人にとって
         住み心地のいい場所じゃありませんよ。」
タロウ     「……………。」
川畑      「全然……なにも教えてくれない。」
タロウ     「だから聞けばいいじゃないですか。」

タロウさん………ネタニマジレステラキモス.

川畑      「だから聞く人がいないんですってば……。」
タロウ     「……………。」
川畑      「だから……謝罪文を書く気は無いことも無いですが……
         誰かに見せるとかどうのってのはやめてくれませんか?」
タロウ     「どして?」
川畑      「そんなんされたら本当に困りますよ。」
タロウ     「いや……ウチはアナタのせいで随分困ったんですけど……。それをナシにしろと?」
川畑      「ええ……できれば……。」
タロウ     「ま。町内会長には連絡しますよ。ワタシとアナタのやり取りで終わらせてしまったら、
         今後アナタが別の町内の人を訴える歯止めになりませんもの。」
川畑      「…………。」
タロウ     「謝罪文がイヤなら報告書を回すだけですから……。」
川畑      「……………。」
タロウ     「もうこれ以上譲るつもりはありませんから……とりあえず用件1の訴訟費用の負担分を
         払ってください。」
川畑      「ええ……それは勿論。」

それは払うと最初から何回も言っているのに…何回確認すれば気が済むのでしょうか?

もう飽きた。それに店の方も心配だ。そろそろ電話を終わらせたくなってきた。

川畑      「では銀行口座を教えてください。」
タロウ     「イヤです。直接持ってきてください。」
川畑      「それはできません。アナタのお宅に迷惑がかかります。」

丸く言ってみたのですが…どう考えても単身タロウの店に行くなんて……
飛んで火にいる夏の虫です。絶体絶命です。
イメージするならこんな感じです。

タロウ     「いや……これ以上迷惑もクソもないでしょう……ウチの家族全部巻き込まれてますから。」
川畑      「でも……それはアナタが話すから……。」
タロウ     「払う人が持ってくるのがスジでしょう……違いますか?」

そんなスジがあるなら債権回収業者や取り立て屋さんは楽でしょうね。

川畑     「いや……貰う人が取りに来てくださいよ……違いますか?」
タロウ     「まぁ……いいですよ……それならそれで……。」

おっ!折れた。

タロウ     「じゃあ……取りに行きますから日時を指定してください。」
川畑      「明日の……夕方6時でいいですか?」
タロウ     「ああ……結構ですよ。
         マンションの下まで行きますから、降りて来てください。」
川畑      「いや……玄関まで取りに来てください。」
タロウ     「やだ。」
川畑      「どうしてですか?」
タロウ     「刺されたらやだもん。」
川畑      「やだな〜〜〜ワタシそんな事しませんよ……フフ……。」

はいはい。狸と狐の化かし合い。

川畑      「エレベーター乗るだけじゃないですか……。」
タロウ     「誰かに見られて不都合でもあるの?」
川畑      「え………だって……誰かにヘンな評判立てられても……ワタシ困るし……。」
タロウ     「ヘンな評判も何も……謝罪文書かなきゃ報告書を回覧ですよ……。」
川畑      「ええ……ですから……その辺りも前向きに検討しましてですね……。」
タロウ     「じゃ6時に上まで取りに行きますから……。」
川畑      「あ……はい……。」

あまりのアッサリな反応に、少々拍子抜けでした。

タロウ     「一応、今日の電話の内容を書いたものがありますから……明日、それを受け取って
         用件2と3をどうするか……考えてください。」
川畑      「はい……。」
タロウ     「じゃ……。」

電話を切った。

……………。

長かった。約一時間ですよ。

まあ…でも読むのには一時間掛からないですよね。そう言うことです………ご推察下さい。

……………。

電話を終え厨房に戻った。
幸いな事に、まだ殆どお客さんは入っていないようだった。
ワタシが抜けた事による父ちゃんへの負担も最小限で済んだ。
なので今の内に父ちゃんに聞いておいた。

川畑    「父ちゃん…アイツ…何話した?」









以下次号→映画が終わると…




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